■地震の多い国だからこそ、万全の地震対策を
日本で暮らしている以上、避けては通れない災害のひとつが地震です。日本は地震大国として知られ、世界で発生するマグニチュード6以上の地震の約18%が日本で起きていると言われています。だからこそ日本は、世界でも類を見ないほどのレベルで耐震技術が発達してきたわけですが、HARUMI FLAGでは、そんな日本の最新の耐震技術を採り入れ、大きな地震の揺れにも強い基礎構造や建物を追求しました。建築基準法の耐震基準に準拠し、しっかりとした基礎で支えられた建物は、柱・梁・壁が地震の揺れに抵抗する強度と粘りを備えています。
■1本1本がオーダーメイドな基礎杭
建物のいちばん下に据え、建物の全重量を支えるものを「基礎」といいます。まさに建物の基礎となる土台であり、ここがしっかりしていないとその上にどれだけ頑丈な建物を建てたところで、建物が傾いたり歪んだりしてしまいます。
HARUMI FLAGでは、場所打ちコンクリート杭という工法で基礎を築いています。一般的に基礎工事を行う際は、すでに出来上がっている鉄筋コンクリート製の杭を打ち込むことが多いのですが、場所打ちコンクリート杭工法では、基礎を築く場所に穴を掘り、その中に鉄筋を入れた後コンクリートを流し込むことで、それぞれの場所にその場で杭をつくっていきます。こうすることで、基礎を支える地中の硬い地盤などの深さや硬さなどの条件、またそれぞれの杭の上に乗る建物の荷重の違いなどを考慮して、1本1本最適な杭を据え付けることができるわけです。HARUMI FLAGの場合も、それらの条件に合わせて各杭の耐力を決め、深さも地下36.0〜51.2メートルの強固な地層によって確実に支えられるようそれぞれの杭を据え付けました。
上で説明したような基礎は、当然ですが確かな強さを備えた地盤に支えられていなくてはなりません。HARUMI FLAGでは工事を始める前に敷地調査とボーリング調査、標準貫入試験といった地盤調査を綿密に行っています。
■鉄筋コンクリートの劣化を抑えるための工夫
多くの建物で使われている鉄筋コンクリートとは、コンクリートと鉄筋が互いの弱点を補い合い、お互いの良いとこ取りをする素材です。コンクリートは重さがかかった時の圧縮力には強いのですが、引っ張る力には弱い素材、鉄筋は引っ張る力には強いけど圧縮されると曲がってしまう素材です。このふたつを組み合わせれば、圧縮力にはコンクリートが、引っ張る力には鉄筋が、それぞれ耐えてくれるということです。
そんな鉄筋コンクリートの弱点が「中性化」という現象です。コンクリートはもともとアルカリ性で、中にある鉄筋の錆びを防ぎますが、時が経つに連れて空気中の二酸化炭素によって中性化していきます。中性化によってコンクリートの強度が弱まることはないのですが、鉄筋の錆びを防ぐ力が弱まります。鉄筋が錆びていくと膨張しますので、コンクリートにヒビが入り、剥落などの問題が発生してしまうのです。
これを防ぐ対策のひとつが、鉄筋を包むコンクリートの厚さ「かぶり厚」を大きくすることです。これによって中性化が鉄筋に届くことを遅らせ、耐用年数を伸ばすことができるのです。
■鉄筋の組み方にもひと工夫
壁面コンクリート内の鉄筋は格子状や箱状に組み上げるのですが、その際に鉄筋を二重に組み込む「ダブル配筋」を標準施工しています。また、柱の中の鉄筋には、メインで強度を支える主筋がせん断されたり曲がってしまうことを防ぐため、何本かの主筋を取り囲むように水平方向に巻かれた「帯筋」というものがあります。帯筋は主筋にフックで取り付けられることが多いのですが、HARUMI FLAGでは継ぎ目を溶接する溶接閉鎖型のせん断補強筋を採用しています。これによって、せん断や圧縮力への抵抗力がフック加工よりも高まっています。
■タワー棟は免震+制震構造
HARUMI FLAGの中央部に建つ2本のタワー「SKY DUO」は、免震と制震の両方を備える先進のハイブリッド構造を採用しています。
免震構造とは、地盤に据え付けられた基礎と、その上の建物の間に金属板とゴムでできたアイソレータという部品を組み込んだ構造のことで、例えて言うなら、スプリングの上に建物が乗っている、と想像すると分かりやすいでしょう。地震で地面が揺れてもスプリングが緩衝材の役割を果たして建物に揺れが伝わりづらくなるわけです。
制震構造とは、建物が揺れ始めたときに「制震ダンパー」と呼ばれる部品が揺れのエネルギーを吸収し、建物自体の揺れを小さくする構造のことです。地震の際に威力を発揮する構造なのですが、高層建築物の場合は台風などの強風でもかなり揺れますので、その際にも威力を発揮してくれます。
このような免震+制震というハイブリッド構造にすることで、地震などの揺れに対する安全性とともに居住性も高める構造になっているのです。