海の上に「本物の森」をつくる
HARUMI FLAGが掲げるメインテーマのひとつである「海に浮かぶ緑の環境都市」という言葉のとおり、街の中は驚くほどの緑で溢れています。13ヘクタールにもおよぶ広大な敷地の中には、約3,900本もの中高木が植樹され、四季折々の美しい風景を創り出しています。
でも、適当な木を無作為に植えただけでは、一時的な見た目の美しさを取り繕うだけであって、本当の景観を生み出したとはいえません。HARUMI FLAGが考えていることは、ここに「本物の森」と呼べる自然豊かな土地をつくり出すことです。敷地内に植えられている多種多様な樹木や植物は、地域植生や生態系、さらには周囲の公園などとの緑の連携までも考慮に入れて選定しました。そうした樹木や植物を、街全体のバランスを取りながら植えていき、緑化を行ったのです。また、これらの緑は、本物の森と同じように、時を経るほどに豊かになっていく「経年優化」を目指しています。
そんな「本物の森」だからこそ、多くの鳥や生き物たちが訪れ、街の自然をさらに豊かにしてくれるのです。街中で鳥がさえずり、四季を感じさせてくれる木陰がある。HARUMI FLAGは、自然と一緒に暮らせる街でもあるのです。
エコロジカルネットワークの一員として
エコロジカルネットワークという言葉をご存じでしょうか。野生生物が豊かに生息・生育していくためには、拠点がひとつあるだけでは不十分で、彼らに適したいくつかの拠点がつながってネットワークのようになっている必要がある、という考え方です。適切な距離で点在する河川や森、公園などの拠点がつながり、ひとつの大きな生態系を形成する、ということです。
HARUMI FLAGの北には浜離宮恩賜庭園、南にはお台場海浜公園があり、どちらも多くの鳥や昆虫、水生生物が生息しています。その間に位置するHARUMI FLAGが加わることで、東京湾岸部の緑の連鎖を向上させる環境創造を目指しています。晴海ふ頭公園、晴海緑道公園というふたつの公園はもちろん、街区内でもいたるところに生物の生息・生育に適した空間をつくることで、人と街と自然とが豊かに共生する未来を育くむのです。いつか街の中でもバードウォッチングが楽しめるようになるかもしれません。
街の緑化率を高める仕掛けは他にもあります
住宅棟の屋上に出てみると、そこにも緑がいっぱいあります。例えば、PARK VILLAGEに設けられたSORA TERRACEは、豊かな緑の中にベンチやテーブルが設けられたアーバンリゾート風のテラス空間になっています。リクライニングできるベンチも設置されているため、緑に囲まれながら日光浴が楽しめます。
SUN VILLAGEのB、C棟は「大地から伸びた建築」というコンセプトのもと、建物のスリット部分と壁面緑化を組み合わせたデザインとなっており、地上レベルの樹木の緑と一体化することを目指しています。この壁面緑化は、SUN VILLAGEとPARK VILLAGEのA棟エレベーターコアにも採用されています。
■緑地のためであっても、水を無駄に使わない
広大な緑地面積と、3,900本もの樹木があると、その維持のために必要となる水の量も膨大なものになります。そのためにハイブリット灌水水景システムを導入しました。各街区には噴水やウォーターガーデンなどの水景施設が何箇所も設置されていますが、そこで使用した水を水景施設側で確保しておき、夜間などを中心に植栽に撒くことで上水使用量を低減させるシステムです。雨水なども貯めておき再利用することができますので、環境への配慮ができるだけでなく、運営コストも低減できます。こうした取り組みは、別のコラムでも紹介した「ABINC ADVANCE(エイビンクアドバンス)」や「SITES(サイツ)」でも高く評価されました。
また、HARUMI FLAG内に降った雨水の処理は、バイオスウェルという植物による自浄作用を利用したグリーン側溝によって行われます。バイオスウェルとは、雨水を一時的に貯めるだけでなく、植栽エリアなどの地面に染み込む過程でろ過し、ある程度の浄化を行うシステムで、これもまた地域の植物多様性への貢献のひとつとなっています。