環境負荷と光熱費のどちらも低減
HARUMI FLAGは「海に浮かぶ緑の環境都市」というテーマの下、「本物の森」を目指した植樹を進め、東京湾のエコロジカルネットワークの一員となることを目指しています。また、建築計画や都市計画においても環境への配慮を重視し、国内・海外の4つの評価機関から認証を受けています。
環境への配慮はそれだけではありません。HARUMI FLAGでは、街全体でのエネルギー消費の効率化も目指しており、それはハードウェアとソフトウェア、それに住民の意識向上という3つの要素によって支えられています。また、その実現のために、街全体、各街区、各住戸という3つのレベルでのエネルギーマネジメントも行っています。こうした取り組みによって省エネルギーによる環境負荷の低減だけではなく、各家庭における光熱費の削減も目指しています。
3つのレベルで省エネルギーを実現
HARUMI FLAGでは、街全体のエネルギーを一元管理するAEMS(Area Energy Management System:エリアエネルギーマネジメントシステム)、各街区のレベルでエネルギー管理を行うMEMS(Mansion Energy Management System:マンションエネルギーマネジメントシステム)、全住居に配置したHEMS(Home Energy Management System:ホームエネルギーマネジメントシステム)という3段階のエネルギーマネジメントを行っています。ここでは、街のエネルギー管理を行うAEMSを中心にご紹介します。
AIによる街全体のエネルギー利用の最適化
街全体のエネルギー管理には、AIによる電力需要の予測機能を搭載した「HARUMI AI-AEMS」と呼ばれるシステムが導入されています。これはデータモデリング技術とディープラーニング技術を用いることで精度の高い電力需要を予測するものです。街全体をつなぐエリアネットワークを介して各街区のMEMSからエネルギー使用量などのデータを収集し、街区ごとの使用傾向の分析などを行いつつ、気象情報やそれに関連した空調の稼働情報、過去のエネルギー使用実績、傾向などをAIが分析することで、今後の電力需要の予測を行うのです。AIはディープラーニング技術によって学習を重ねていきますので、年を追うごとに、つまり街の発展とともに予測精度も向上していくことになります。
複合エネルギーの街だからAIが必要
HARUMI FLAGのエネルギーは、電力会社からの電力供給だけではなく、水素を用いた燃料電池や、各住居において都市ガスから水素を取り出しての発電、太陽光発電など、多様なエネルギー源を用いて環境負荷の低減に取り組んでいます。
こうした複雑なエネルギー源を持ち、なおかつ膨大なエネルギー需要があるため、AIによるエネルギー管理が求められました。AI-AEMSは計算した電力需要予測から、さらに電力使用量のピークを予測し、それに合わせた蓄電池や水素燃料電池の運転計画、さらに各設備の制御運転の計画を立案します。これによって電力消費のピークを抑制し、エネルギーの効率的な利用を実現するのです。
また、こうしたエネルギーマネジメントシステムは、もしもの災害時にも威力を発揮します。各街区・エリアの需給バランスを監視しつつ、避難先のエネルギー情報や供給可能なエネルギー量、供給可能時間などの情報を発信し続け、避難中の住民の皆さんをサポートし続けます。
こうした統合的なエネルギーマネジメントシステムの導入は、街全体を一斉開発したからこそ実現したものなのです。
住民の環境負荷低減への意識向上もカギ
とはいえ、こうしたハードウェアやソフトウェアの導入だけでは省エネルギーは実現しきれません。より効率的なエネルギー管理を行うためには、住民ひとりひとりの意識向上もまたカギになるのです。
各住居に配備されたHEMSによって、毎日の電気使用量や発電量を確認できる、エネルギーの「見える化」を実現しています。また、AI-AEMSによって収集されたデータはタウンポータルやデジタルサイネージで確認でき、街全体のエネルギー消費情報も見える化されています。このような各家庭レベルと街全体レベルの情報提供によって、住民のみなさんの環境負荷低減への意識向上を図っていくのです。
ハードウェア、ソフトウェア、それに住民の意識向上による省エネルギー性の向上によって環境負荷を低減させるとともに、街全体の電力コストの削減、そして各家庭における光熱費の削減も実現していきます。