二次災害にもしっかり備える
もしもの災害発生に備えておくことは非常に重要ですが、その後の二次災害を可能な限り防ぐこともまた大切です。そのポイントになるのが、電気を中心としたエネルギーの確保です。街を復旧するためにも、また復旧までの日々を可能な限り不便なく過ごすためにもエネルギーが必要なのです。HARUMI FLAGはそのためのインフラをしっかりと整備し、そのインフラを迅速かつ効率的に活用するための防災基本方針を策定することで、二次災害にもしっかりと備えています。

エネルギーインフラの多重化で災害対応
災害発生後の二次災害を最小限に食い止めるために求められることのひとつがエネルギーの確保です。HARUMI FLAGは、災害対応用の非常用発電機を設置していることに加えて、複数のエネルギー源を常時用意しておくことで、ひとつのエネルギーが止まっても対応できるインフラを整えています。
非常用発電機は各街区に設置されており、それぞれ1週間程度の電力供給が可能となっていますので、災害時には主電源として活躍してくれます。各街区に設置された純水素型燃料電池や全街区の全棟に設置された太陽光発電、蓄電池なども非常時の電源として活用できますし、それによって主電源用発電機の燃料を節約することができます。もしも災害が発生しても、さまざまなインフラの復旧や外部からの支援が来るまで、1週間の余裕をつくり出せるのです。
また、各住戸においても、エネファームが起動中であればお湯と電気をつくり続けますので、冷蔵庫や情報通信機器、キッチンのダウンライトなどへの電力供給が可能となります。停電の際、もしもエネファームが停止中だったとしても、蓄電池に必要な電力が残っていれば再起動が可能で、上記のような電力供給が復活します。それに加えて、エネファームのタンク内には130リットルの水が確保されていますので、断水時にトイレその他の雑用水として利用でき、非常用飲料水を節約することができます。
素早く対応するための防災基本方針
万が一の災害への備えは上に述べたようなインフラの準備だけではなく、災害時に素早くそれらのインフラを活用できるような基本方針を定めておくことも重要です。非常用発電機や太陽光発電、蓄電池、純水素型燃料電池などを効率的に活用し、より長い期間に渡ってエネルギーを確保し続けるための方針が以下のように定められています。
1. 災害時の主電源の確保
災害が発生した際、1週間程度の自立を確保するため、主に動線の確保のための建物主電源として非常用発電機を利用します。また、火災停電時には、法令に基づく消防設備、避難設備への電源供給を行うとともに、出火防火の対象となる建物以外の棟の導線維持を目指します。
2. 主電源燃料の節約と災害用電源の確保
平常時はピークシフト利用が考えられる屋外廊下部などの共用廊下の一部照明の電源には、主電源ではなく太陽光発電と蓄電池を用います。これによって主電源である発電機の燃料を節約します。また、自然エネルギーによる半永久的な電源を利用可能にします。
3. 拠点サービスの確保
電気自動車に貯められている電力を、サポートステーション(災害対策拠点)のコンセントへ供給する電力の電源として用います。これによって、発電機の燃料が切れたあとも機能維持を図ります。
4. 外構照明の確保・拡充
隣接地にある水素ステーションからの燃料供給を得て、純水素型燃料電池(PEFC)や燃料電池自動車(FCV)なども動員した発電を行い、外構部分の照明用の電源とします。また、非常時には何本ものガス容器を束ねたカードル内に貯蓄してある水素燃料を用いて、純水素型燃料電池の運転を行います。
5. サポートステーションの空調の確保
晴海五丁目エリアまで引き込まれた都市ガスを利用したGHP(ガスヒートポンプ)エアコンを用いて、サポートステーションにおける空調の自立運転を可能にします。これによって主電源の発電機用燃料が節約できます。
エネルギーマネジメント機能が大きな役割を果たす
災害時においても、HARUMI FLAG全体のエネルギーを一元管理するAEMSが大きな役割を果たします。非常用発電機を中心とした、太陽光発電、水素、都市ガスといった多種多様なエネルギー源を、人間の手によって長時間、効率的に稼働させ続けるよう管理するのは困難が伴います。そこで、AEMSが敷地内における設備の稼働状況やエネルギーの情報など、供給エリアの需給バランスを監視し、エネルギーの供給可能な量や時間を表示するとともに、多様なエネルギー源からの電力供給の安全・最適な運用の支援を行うのです。