
都心中古マンション市場に変調の兆し
価格は過去最高更新も、“値下げ物件”急増の背景とは
不動産調査会社・東京カンテイが公表した2026年4月のデータによると、東京都心6区(千代田・中央・港・新宿・文京・渋谷)の中古マンション平均価格は、70㎡換算で1億8,822万円となり、前月比0.5%上昇。3カ月ぶりに上昇へ転じ、過去最高価格を更新しました。
特に港区・渋谷区を中心に、築浅かつ高額帯の物件流通が価格を押し上げた形となっており、依然として都心高級マンション市場の強さを感じさせる結果となっています。
一方で、市場内部ではこれまでとは異なる変化も見え始めています。
今回のデータで特に注目すべきなのは、「価格上昇」と同時に“値下げ物件の増加”が進行している点です。
東京カンテイによれば、価格改定(値下げ)を行った物件の割合は49%に達し、少なくとも過去10年間で最も高い水準となりました。
つまり、“市場全体の平均価格は上昇している”一方で、実際には売れ残り在庫が積み上がり、売主側が価格調整を迫られるケースが増えているということです。
これは現在の都心不動産市場が、「一部の強い物件だけが価格を維持・上昇し、それ以外との二極化が進んでいる」状態に入っているとも言えるでしょう。

背景には、物価上昇や金利上昇による実需層の買い控えがあります。
これまで都心中古マンション市場は、国内外の投資マネー流入やインフレヘッジ需要を背景に、バブル期を超える価格水準まで上昇してきました。
しかし、住宅ローン金利の上昇や生活コストの増加により、実際に居住目的で購入を検討する層の動きには徐々に慎重さが見え始めています。
さらに現在は、中東情勢の悪化による原油価格上昇や資材供給不安も懸念材料として浮上しています。
原油価格の上昇は、リフォーム工事や建築資材コストの増加に直結します。
結果として、
・リフォーム費用増加
・再販事業者の利益圧迫
・購入者の総予算上昇
につながり、今後の中古マンション市場にも影響を及ぼす可能性があります。
特に中古マンション市場は、新築市場と比較して需給変化が価格に反映されやすい特徴があります。
そのため、現在の「値下げ物件増加」は、今後の不動産市況を占う上でも非常に重要なシグナルと言えるでしょう。
もっとも、都心高級マンション市場そのものが急激に崩れる局面とはまだ言い切れません。港区・渋谷区・中央区湾岸エリアなどでは依然として富裕層需要や海外投資家需要が根強く、条件の良い物件については高値成約も継続しています。
今後は、「どの物件でも上がる時代」から、「選ばれる物件だけが強い時代」へと移行していく可能性が高いと考えられます。立地・眺望・希少性・管理状態・街の将来性など、“本質的な価値”がより重視されるマーケットへ変化していくのかもしれません。